症状が強いときは数値だけで待たない

突然の胸痛、安静時の強い息苦しさ、意識がもうろうとする・失神する、大量の出血がある場合は119番へ連絡してください。貧血以外の緊急の病気も考えられます。

黒くタール状の便、血便、吐血は消化管からの出血の可能性があるため、速やかに医療機関へ相談してください。ふらつき、冷汗、強い息切れなども伴う場合は救急対応が必要です。出血が目に見えなくても、少量の出血が続いて貧血になることがあります。

緊急の症状がなく、健診でHb低値や要再検査・要精密検査を指摘された場合は、まず内科またはかかりつけ医に結果表を持参してください。原因に応じて血液内科、消化器内科、婦人科などへつながります。月経量の増加や長引く月経がある場合は、その経過も伝えましょう。

Hb・赤血球数・ヘマトクリットは何が違う?

ヘモグロビンは赤血球の中にあり、肺から全身へ酸素を運ぶたんぱく質です。血液中の濃度をg/dLで測定します。赤血球数(RBC)は細胞の数、ヘマトクリット(Ht・Hct)は血液中で赤血球が占める割合です。

Hbが低いと酸素を運ぶ力が不足し、疲れやすさ、動悸、息切れなどにつながることがあります。一方、ゆっくり進んだ貧血では症状に気づかない場合もあります。症状の有無だけで結果を放置しないでください。

HbA1cはヘモグロビンに糖が結びついた割合を%で示す、血糖の状態を調べる別の検査です。Hbが12.0g/dLという結果を、HbA1cが12.0%という結果と取り違えないよう、項目名と単位を確認してください。

男女別の健診判定|12.0g/dLでも区分は異なる

基準値は検査機関により異なります。次は日本人間ドック・予防医療学会の2026年度判定区分表による血色素量の目安です。結果表の基準範囲・判定・受診指示も確認してください。

血色素量(Hb)の判定区分(単位:g/dL)
区分男性女性
A:異常なし13.1〜16.312.1〜14.5
B:軽度異常(高値側)16.4〜18.014.6〜16.0
C:要再検査・生活改善(低値側)12.1〜13.011.1〜12.0
D:要精密検査・治療12.0以下、18.1以上11.0以下、16.1以上

この区分では、12.0g/dLは男性でD、女性でC、11.0g/dLは男女ともDです。ただし、Dだけで輸血の必要性や病名が決まるわけではありません。Cの再検査時期は健診施設の案内を確認し、期限の記載がなければ問い合わせてください。症状や出血があれば、その期限まで待たずに相談します。

学会の区分は初めて受診する人の判定の拠り所で、病歴などにより変わることがあります。治療中はEの扱いがあります。妊娠中・小児の評価や治療中の目標値を、この表だけで判断しないでください。

出典:日本人間ドック・予防医療学会「判定区分(2026年4月1日改定)」、血色素量と脚注1〜3(確認日:2026-10-17)。

低い原因は鉄不足だけではない|追加検査の見方

鉄不足は、摂取量が少ない場合だけでなく、月経や胃腸からの出血、胃腸の病気・手術後などで鉄を吸収しにくい場合にも起こります。男性や閉経後の人でも、出血の有無を含めた原因確認が必要です。月経がある人も、貧血を「いつものこと」で済ませず、量や期間の変化を伝えてください。

鉄不足以外には、ビタミンB12・葉酸の不足、腎臓病、慢性の炎症、赤血球が壊れる溶血、骨髄の病気などが関係することがあります。診察と結果に応じて、必要な検査が選ばれます。

Hbと合わせて確認する検査
検査わかること・確認点
RBC・Ht・MCV赤血球の数・割合・平均的な大きさ。MCVは貧血の原因を絞る手がかりですが、値だけで鉄不足などの原因は確定しません。
血清鉄・フェリチンなど血液中の鉄と体に蓄えられた鉄を確認します。フェリチンは炎症や肝臓病でも上がるため、高い値だけで鉄の過剰と決められません。
網赤血球数新しい赤血球が作られる反応の手がかりです。出血や溶血後に増える場合、鉄やビタミンの不足などで少ない場合があります。
腎機能・ビタミンなど腎臓病や栄養素の不足を疑う場合に、腎機能、ビタミンB12・葉酸などを調べることがあります。

出血が疑われるときは、便の検査や胃・大腸の内視鏡などが必要になる場合があります。全員が同じ検査を受けるわけではありません。胃潰瘍や大腸ポリープなどを含め、症状と検査から出血源を確認します。

Hbが高い場合は、水分状態や喫煙歴も伝える

脱水で血液が濃くなるとHbが高くなることがあります。喫煙、高地での生活、睡眠時無呼吸、心臓・肺の病気、赤血球が増える病気なども関係します。RBCやHt、以前の値、体調と合わせて確認してください。

「水を飲めばよい」と決めつけず、高値が続く場合や受診指示がある場合は医療機関で原因を確認しましょう。心臓病・腎臓病などで水分制限がある人は、自己判断で水分量を増やさないでください。

受診・再検査に持参するもの、伝えること

  1. 今回と過去の結果表を用意する。Hbの値、採血日、RBC・Ht・MCV、白血球・血小板など他の判定も持参してください。昨年13.4、今年11.6g/dLなら、「今回11.6」だけでなく低下した経過も伝えます。
  2. 症状を場面と時期で伝える。「2週間前から階段で息切れする」「昨日から黒い便がある」など、いつから・何をすると・どの程度かを記録してください。強い症状は予約日を待ちません。
  3. 出血と食事・既往歴を確認する。月経の期間、交換回数の増加や漏れ、便の色や血、血尿、献血・手術、食事の偏り、胃腸や腎臓の病気、妊娠の可能性を伝えます。
  4. 薬・サプリの商品名と量を持参する。お薬手帳に加え、市販の鎮痛薬、鉄やビタミンのサプリも写真や容器で確認できるようにします。処方薬の中止や鉄剤の増減は、自分で決めず処方元に相談してください。

受診までに鉄サプリを始めて検査値だけを変えようとせず、まず原因を確認しましょう。鉄不足が確認されれば、原因への対応と鉄剤などの治療を相談します。食事の見直しだけで出血などの原因が解決するとは限りません。

再検査・精密検査の受け方では、予約時の確認と結果表・紹介状の準備も確認できます。

関連する検査項目

再検査前は絶食が必要ですか?

Hbの検査だけなら特別な絶食準備は通常必要ありません。ただし、血糖や鉄に関する検査などを同時に行う場合は指示が変わります。予約先に検査内容、食事・水分・薬の指示を確認し、自己判断で食事や薬を抜かないでください。

参考・出典

出典確認日:2026年10月17日。

医療情報に関する注意

検査結果の解釈や治療は、年齢、妊娠、病歴、薬、症状、検査施設の基準によって異なります。診断や薬の変更は、診察を受けて医師に相談してください。